負傷動物について要望

負傷動物について要望

2017/11

負傷動物の治療に関する要望
茨城県保健福祉部生活衛生課 課長 殿
茨城県動物指導センター長 殿


NPO法人動物愛護を考える茨城県民ネットワークCAPIN(全国動物ネットワークANJ事務局)


ご公務お疲れ様でございます。
これまで当会が茨城県動物指導センターより引き出した負傷動物は、すみやかに外部の動物病院に搬送し、治療をして参りました。その医療費は当会が全額負担をしております。昨年度まではセンターから引き出した犬猫は、医療はほとんど受けておりませんでした。(ところが昨日11月10日に引き出した瀕死の常総事故猫には補液と投薬がされていて、事態が改善されていることに嬉しく驚きました。)が、応急処置はできても複雑な外科治療はセンターでは困難とのことで、それは当方もよく理解しております。そこで、本日、事故猫は、常総市の水海道アニマルクリニックさんにご無理を申して入院治療をお願いしました。が、センターに収容された負傷動物、そしてセンターに運ばれるまでにおそらく市役所や警察に数日にわたり置かれている動物たち)が治療を受けられないまま放置されている状況がたいへん危惧されます。

また、当会には犬猫に関する保護相談が日夜寄せられます。そのなかには負傷動物に関する内容も多く含まれます。「怪我をしているので保護し病院に連れて行きたいが治療費が払えない」「行政に相談して犬猫を運べば、保健所やセンターで殺されてしまうので相談できない、どうしたらよいか」との声が多くございます。私どもは特別に診てくださる協力病院を紹介したり、医療費を負担して治療にあたってもらうなどをして参りました。が、医療費負担についても常に疑問を感じて参りました。動物愛護法35条、36条には、負傷動物はセンターが収容して必要な治療を行う、とあるためです。(末尾)

以下、今週の外部メール相談の具体例です。
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<相談内容>
昨日、近所のクロスしたパイプ部分に引っ掛かり、逆さまに注刷りになっていた猫を救出したのですが、その後は両足が動かず道路を前足だけでズリバイして歩いている状態で、近所の人に保護してもらい、私の庭にいます。ちなみに私は猫が苦手で水や餌をあげたくても、牙をむいて威嚇され何も出来ずにおります。役場に連絡したらすぐに保健所で殺されてしまいそうでどうにもできずにおります。どの様に対応したら宜しいでしょうか?
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相談者さんにお電話しました。11月6日の朝に、V字の枠に引っかかってもがいていたとのことです。骨盤のところが挟まっていたらしく、今日は食欲もなく食べていない、箱にぐったり入っている、と。背骨の骨折や神経の切断も考えられるので、排尿ができているか心配であり、放置すると膀胱炎、尿毒症になるかもしれないこと、外では生きていけないだろうから、すぐ病院にかけて治療する必要があるだろう、とお伝えしました。(保護主さんはセンターに問い合わせられました。また、警察と市役所に届けをされ、飼い主さんが現れなかったら里親さんを探していく方向で動くこととなりました。)

11月9日、保護主さんが病院に連れてくと、放置すればあと2,3日の命だろう、と緊急入院となりました。肝臓、腎臓の数値が悪く、尿もたまって食欲もなく、ぐったりしていました。保護主さんは入院にあたっての内金1万円を支払ってこられました。さらに当然ですが毎日の入院費がかかってきます。そして、猫を飼ったことも触ったこともなく、よく知らないで、たまたま眼の前の苦しんでいる猫を助けたために、このような負担を強いられることになったことに戸惑っておられます。

このような場合、センターで複雑な外科治療をすることは困難と思われます。外部の獣医師にご協力を得るしか道がないのであれば、外部の病院に医療費を出すことが妥当と思われます。

動物愛護法では負傷犬猫はセンターで収容して治療をすることになっています。茨城では予算もついていることと存じております。さらに茨城県では昨年末に殺処分ゼロを目指す条例が施行され、今年度は殺処分ゼロに向けて助成金が出ております。

負傷した犬猫を助けたいと動く、心ある市民や民間団体が費用負担をしないでよい仕組みをきちんと調えて頂きたく、お願い申し上げます。そのために法律や条例、予算があり、県民は税金を支払っています。

センターも徐々に改善されていますしセンターでの避妊去勢手術も行われるようになったことは喜ばしいのですが、負傷動物につきましても改善を求めたく思います。これまでCAPINではセンターから引き出した犬猫はおしなべて外部動物病院で手術や治療をして頂いてきましたし、街中で事故にあった犬猫の医療は、たまたま発見して放置できず助ける個人や獣医師、民間団体の負担となってきました。負傷動物に関しては、センター内でなく、動物病院で医療を受けても、行政が法にもとづいて助ける道をつくってくださいますよう、以下要望を申し上げます。

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負傷、傷病の所有者不明動物を発見し、助けようとした県民の方々からの声を総合的に考慮して、今現在の茨城県負傷動物対応の流れを改善していただきたくお願い申し上げます。
同じ予算ならば、救命率が高く、県民に負担をかけない方法に変えていただくことを要望したします。
まず、1年365日を通して飼い主不明の負傷傷病動物を発見したら、まず最寄りの動物病院(指定病院制度あるいは獣医師会の協力)で受け付け、一定日数の応急手当を受け、その後、急性期が過ぎたらセンターにて継続治療しながら譲渡を待つという形が望まれます。
他自治体を見てもまずは最寄り病院となっています。獣医師会または県内有志病院と調整していただき、負傷傷病動物の救命譲渡率を上げてくださるようお願いいたします。広い県内ですので、県センターが第一窓口になっているのでは、長い時間動物が苦しむと同時に救命のチャンスを逃してしまいます。宜しくご検討くださるようお願いいたします。急ぎ、県内動物病院と明確な調整を行い県民に分かりやすく広報していただくようお願い申し上げます。

参考例

群馬県
http://www.pref.gunma.jp/04/p13210027.html
公共の場所でけがをした犬や猫などの動物を見つけた場合(死亡している場合は除く)は、動物愛護センターに連絡してください。県では、飼い主の不明な負傷動物について、公益社団法人群馬県獣医師会に応急治療をお願いしています。また、緊急な場合、発見者である方が最寄りの動物病院へ搬入してもらっても構いません。

岩手県
http://ivma.jp/faq/faq_04.html
保護した動物が飼い主不明であり、かつ病気にかかっていたり怪我をしていた場合は、地方振興局担当課及び最寄りの獣医師会・動物病院にご相談ください。岩手県には、「負傷動物応急治療業務指定獣医師制度」があり、県内各地方振興局管内に2名ずつ、合計29名の獣医師会会員がその業務にあたっています。治療にかかる費用は、振興局の窓口を通した場合には県の負担となります。

仙台市

http://www.city.sendai.jp/dobutsu/kurashi/shizen/petto/hogodobutsu/aigo/dobutsu/index.html
道路や公園など公共の場所において、飼い主不明で、負傷したり疾病にかかっている動物を収容しています。
センター閉庁時(土日曜日や時間外)には、公益社団法人仙台市獣医師会に、無料一時救急処置を委託しています。

富山市

http://www.city.toyama.toyama.jp/fukushihokenbu/hokensho/seikatsueiseika/kanshi/fushodobutsunochiryo.html
富山市では動物愛護の観点から、市民の皆さんが発見された飼い主のわからない負傷動物(道路や公園などで発見された負傷している犬・猫に限る。)を市内の動物病院(現在は治療できる病院を指定しております。)へ持ち込まれ治療される場合には、治療費の一部を富山市が負担する制度を実施しております
処理フロー
http://www.city.toyama.toyama.jp/fukushihokenbu/hokensho/seikatsueiseika/kanshi/fushodobutsunochiryo.html

名古屋市
(名古屋市獣医師会)
http://www.nagoyavet.jp/hospital_yakan.html
当診療所では年中無休で市民からの無料電話相談に対応するとともに、夜間に交通事故等で生命に関わる重傷を負った負傷動物(飼主のわからない動物)の収容・治療も行っています。

横浜市
傷病動物への応急措置交通事故等で動けなくなっている,飼い主が不明な傷病動物(犬や猫等)への対応は,一義的横浜市、傷病(負傷)動物の対応

2017年11月29日現在、横浜市動物愛護センター・斎藤様の情報によるもの

1.市民が負傷している動物を見つけたら、その市民が動物病院に運ぶか保健所(区役所内にある)に連絡します。センターでは直接収容をしていません。

2.運び込んだ動物病院の獣医師が判断してその病院で緊急手術することもあるし、病院から愛護センターに移して手術することもあります。

3.動物病院に横浜市から支払われるのはどんな状態でもどんな治療でも一律5000円。(横浜市獣医師会との横浜市傷病動物救急措置業務委託契約)

4.ある程度、動物病院に扱いは任されており、市民がセンター収容ではなく、継続治療を病院にお願いする場合もあるし、譲渡してもらうこともあります。
(費用は相談)
5.愛護センターに動物病院経由で収容された動物がどうなったのかの発見者の問い合わせにセンターは回答します。もし発見者が引き取りたかったらセンターの里親探しの譲渡対象になった時に自分が引き取ることもできます。

横浜市のシステムのポイント
※ 動物はまず、市中病院に行きます。救命率を上げるためにはまず最寄り病院に行くのが妥当です。
※ 動物病院の治療への市からの謝礼金額は一律ですが、獣医師の判断で融通の利いた治療が受けられ、譲渡もその段階で可能です。

参考・・平成29年度横浜市動物愛護管理業務計画
道路、公園等において疾病にかかり又は負傷した犬、猫等の動物や、区の 閉庁時の自活できない猫等については、その動物の保護や一時的な救急処置業務を 横浜市獣医師会に委託します

譲渡の方法は、個人への譲渡(個人譲渡)のほか、譲渡登録団体(団体譲渡)や 横浜市獣医師会を経由した譲渡を進めていきます。
に譖横浜市獣医師会の動物病院が救急的な治療等を行い,その後センターで継続した治療を行い,可能な限り譲渡を行っている。

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犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について

平成18 年1月20 日
環境省告示第 26 号

動物の愛護及び管理に関する法律(以下「法」という。)第35 条第1項及び第2項の規定による犬又はねこの引取り並びに法第36 条第2項の規定による疾病にかかり、又は負傷した犬、ねこ等の動物及び動物の死体の収容に関する措置は、次によるものとする。

6 都道府県知事等は、法第35条第1項又は第2項の規定により引き取った犬又はねこについて、必要に応じて治療を行うこと。

ただし、治療を加えても生存することができず、又は治療することがかえって苦痛を与え、若しくは長引かせる結果になる場合等

、死期を早めることが適当であると獣医師又は都道府県知事等が判断した場合にあっては、この限りでない。

第2 負傷動物等の収容
1 法第36 条第2項の規定による動物及び動物の死体の収容は、都道府県知事等が、施設の収容力及び構造並びに人員の配置状況、当該地域における疾病にかかり、若しくは負傷した動物(以下「負傷動物」という。)又は動物の死体(以下「負傷動物等」という。)の発生状況等を踏まえ、法第44 条に規定する愛護動物のうちから適切に選定して行うように努めること。

2 都道府県知事等は、法第36条第2項の規定による通報があったときは、公共の場所を管理する者等関係者の協力を得て、負傷動物等を迅速に収容するよう努めること。

 

************************以上、要望を提出しました。

 

 

また、すでに、昭和63年狂犬病予防等事務処理要領19条には、負傷犬猫は県が治療する、と記載されています。

 

また、最近、みやざき市民オンブズマンにより開示請求された文書の中に、平成23年の茨城県動物指導事務処理要領というものがあり、(負傷動物の収容)NO.5には、センター長は、指定病院への搬送を通報者に依頼できる、と記載されていました。このことはまったく周知されていません。怪我や事故で負傷した犬猫は、善意の市民が身銭を切って助けるしかないと思わされていました。

だから、あきらめて放置される動物がきっと多くいる。

センターに問い合わせても、これは教えていただけなかったし、指定病院は書面でもHPなどでも、公開されていません。情報が隠されている、実は助けることになっていた、法律はあっても守られていない、現行法すら守られていない、この事実を、皆さんに知っていただきたいのです。予算をとれば、助けられる、その予算が毎年70万80万に抑えられていて中身も不透明なのは、負傷動物がいても放置されるしかなく、医療費や頭数などの数字があがってこない、つまり存在しないことにされていたからです。

 

まだまだ隠されていることが多くある動物行政です。

お問い合せ

動物ボランディア団体全国民間ネットワーク
全国動物ネットワーク事務局

茨城県つくば市(以下略)

 

〒305-8799

筑波学園支店どめ

 

TEL:090-6112-7179

FAX:029-851-5586

Mail:Fwin5675@nifty.com

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