飼い主不明の犬はなぜつかまえて殺すのか(2)

みやざき市民オンブズマン、野中公彦氏による事実のご指摘をご紹介します。

野中氏は、質問状に対する回答文書、開示請求文書、公文書、聴き取りにより、確認された事実を指摘されています。


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我が国では、狂犬病予防接種をし、役場に登録をし、首輪を付けて鎖に係留をしなければ、犬は飼えないことになっています。

放浪犬、野犬、不用犬はつかまえて、狂犬病予防法に定められた公示の期間の2日を超えたら(5日に延長するなど自治体により延期あり)、飼い主が名乗りでなければ、首輪をしていようが、鎖を引きずっていようが、みな殺してきました。


皆さんはお読みになったことはありますか。

「犬の現代史」
(今川勲(いさお)著、1996年、現代書館、2500円)

近代国家形成後の日本人が犬をどのように扱ってきたのか、その推移がよくわかる内容になっています。

タイトルこそ「犬の現代史」とされてはいても、犬そのものでなく、犬を扱う日本人というものに焦点が当てられています。

「狂犬病のために、犬はこれまで人から排撃されてきた。そのため、人と犬の関係は、首輪をつけ、口輪をはめ、鎖に繋ぐという、人が犬に一方的に枷を課してきた歴史でもあった(著者)」とあるように、犬の捕獲や打ち殺しがいつ始まったのか、犬捕獲を生業にしている者の出現と活況など、犬対策の歴史がよくわかる本です。

明治14年(1881年)の畜犬取締規則ですら、みだりに殺すことを戒めて、犬を1週間は抑留所に寄せ置くことが明記されています。

またこの年に、警視庁は、犬捕獲、撲殺の請負人に対し、日当を支給し始めました。また、犬撲殺の業者の育成に努めるようになりました。

在留欧米人や愛犬家の批判をかわすためにも、捕獲は夜間や早朝に行われています。

1897年の獣疫予防法の成立を境に、それまで犬を追いたて、棍棒で殴り殺していたのが、投げ縄や箱を使った生け捕りに変わりました。(今と同じですね。)
狂犬病ワクチンの開発により、予防的な観察が重要視され、噛み犬を観察し狂犬病の鑑定をすることが必要になったからです。

本庁や警察署に置かれた収容スペースには限りがあり、また周辺住民の苦情もあり、やがては処分が手っ取り早くできる化製場(死亡獣畜の処分施設。死体から肉や皮革、にかわ、油脂を取る)内に係留所を移したのです。1930年代には三河島に化製場があり、敷地の一角に捕獲犬スペースがありました。

殺すことを前提にしていることがわかります。
今も、クリーンセンター(ゴミ焼却施設)の敷地に置かれている動物管理センターもあります。

動物行政の背景には、ずっと利権が絡んできた、ということ。

捕獲と収容と処分、その雇用に、巨額の税金が投じられてきたこと。

この業務の委託業者は、天下り団体など、都道府県や獣医師会との関連が強いところが多いこと。

これらをしっかり見据えないと、どんなに殺処分ゼロを叫んでも、飼い主のマナー向上や啓発に尽力しても、収容犬はなくならないように仕向けられるのではないか。

「犬の現代史」を通して、犬と人の過去を振り返ると、飼い主不明の犬はいてくれたほうが、利権を持っている人たちが潤う、という話になるのではないか。

もしかしたら、ペットショップや競りがなくならないのも、そのあたりに理由があるのではないか。


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犬駆除利権は、経済犯罪の面から、追求していく、先ず。その方がわかりやすい。

「狂犬病」というのが、キーワード。

動物保護法制定以前は、犬管理所は、
狂犬病予防法 の捕獲、抑留、返還、処分=殺処分とした施設だった。

また、「不要犬買上げ」と称して犬を収集していた。
買上げた犬は、殺して、狂犬病予防実績に計上。犬は、狂犬病にかかる恐れがあるから、収集して駆除するという理屈(当時でも法根拠皆無)、猫もついでに焼却(もちろん法根拠皆無)

この「狂犬病予防実績」を維持するのが、動物行政の目的となっていて、今も、その「掟」は、かわっていない。

動物保護法が施行されたとき、それまで狂犬病予防実績に計上していた法根拠皆無の不要犬買上げ引取りと駆除を、そのまま動物保護法の条文に基づいたことにしてしまった。

しかし、施設はそのまま「殺処分」の施設のままであり、運用も同じであり、抑留も返還もない。

あくまで狂犬病予防法の施設である。動物保護法により引取り、収容すべき施設ではない。犬、猫は、即時、処分し焼却するだけである。

繰り返すが、狂犬病予防と称した不要犬収集実績が、動物保護法による実績に置き換えられただけである。

狂犬病予防法しかなかった時代の、古い、抑留施設のままで、今も犬猫を集めている。古い犬駆除人の掟は今も基本は変わらない。

上記について「動物保護法に基づいた施設が無いのはなぜか?」とある県の担当官に質問すると、
「狂犬病予防法が、先にできたから」との答えが返ってきた。もう、法も何もない。

動管法にある、飼養保管施設のない者が、動物を引取りすることなど、論外ではないか。

今、引取り動物等の「殺処分」の理由は、「新たな飼養希望者がいないためである」とされているが、それは行政が国民に流布している偽である。

本当は、動物愛護法に基づいた施設がすべての都道府県、指定都市、中核市にないからである。

ある程度の期間飼養してその間に飼い主のもとに戻したり、譲渡を目指して飼養したり、譲渡会を開くような施設を備えているのはごく一部の自治体でしかない。

福岡や宮崎ほか、「狂犬病予防実績」という、殺す動物の数の計画表が前もってある。みだりに殺さないはずが、実態は昔と同じである。


全国の動物収容施設の寸法や図面を調べているが、担当者から話を聞くと、一様に、とても古い施設だと言う。それは、狂犬病予防法の抑留施設である。

「動菅法の、引取り動物には、抑留期限、保管施設が無い。だから焼却するだけ」
これが、日本で行われている「殺処分」である。

昭和48年制定の動物保護法に基づく施設は、存在しないということなのだが、本来、到底ありえない。要は、動物保護法が「不存在」という話である。

法律では、国民何人も、命あるものに鑑みて、適正に取り扱わないといけないことになっている。

昭和50年の措置要領でも、新たな飼養希望者をみつけて生存の機会に努めることになっている。

それなのに、動物保護法に基づいて、引き取った動物を収容する場所が無い。

(動物の所有者又は占有者の責務等)第7条をみて頂きたい。

動愛法に基づいて引取った動物の、占有者は、自治体で、それを預かるのが動物管理センター等。

引き取った動物について、第7条が、「無効」になるはずもない。

第35条の(犬及び猫の引き取り)

7項 都道府県知事等は動物の愛護を目的とする団体その他のものに犬及び猫の引き取りまたは譲り渡しを委託することができる。

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上記の項目ですが、

飼養保管施設のない者に、引取りを、委託できるわけない。焼却する場所しかない者に、動物管理委託できるはずもない。

多くの人が、行政は、ひどくてもとりあえずは、法律に基づいているという頭だから、バカバカしいインチキに気がつかない。

引き出し譲渡をする団体として登録するときには、シェルター施設の見取り図や排水や廃棄をどうするかなど書類を提出して、そのあと訪問審査があり、登録となる。民間ばかりに要求し、自分たちの施設や、委託している天下りの組織には審査がない。


宮崎県の収容施設で、引き取り犬猫の即日殺処分を止めようとしないため、刑事告発した。

当初は、動管法で引き取った犬だから、狂犬病予防法の「抑留期間の不存在」だったから、即時に殺したと堂々と主張していた。

そして警察から事情をきかれ、それは理由にならないので、譲渡適正がなかったから、と殺した理由を変えた。

生かせるものを殺処分する。これは、みだりに殺す犯罪ではないのか。

飼養保管施設のない行政が、犬を引き取っている、これは、違法ではないのか。

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以上、野中公彦氏による「事実の指摘」をご紹介致しました。



作画: 野中龍彦

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全国動物ネットワーク事務局

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